三島市に見る「水の風景」


 静岡県三島市は、富士山からの豊富な地下水、わき水で有名です。あの柿田川湧水群も同じ水です。

 この水は富士につもった雪が解け、何十年もかけて降りてくるものなのですが、ただの雪解け水ではありません。富士山の中腹以下の表面は固い火山岩で出来ており、そこに水は滲みません。中腹より下に降った雪、雨は比較的表面を流れ落ちて来ることになり、地下水としては浅い部分に集中しています。
 中腹より上に降った雪、雨は中腹部分の固い地層の下に入り込み、富士山の表面の深い部分を降りてきて、三島市など麓の地域でわき出すのです。ですから、途中汚染されることの少ない、かつミネラルの豊富な水になります。
 三島市はこの水を観光資源として、また贅沢な飲料水として永い間水とつきあってきました。しかし、突然、この水が枯れたのです。それは、やや富士山寄りに出来た製紙工場のせいでした。製紙には大量の水を必要とします。富士山の麓、太平洋側に製紙工場が多いのは、港とこの富士山のわき水のせいです。工場があることの利益と、水を失うことの悲しみ。ここでもまた、自然との共存が難しいことを教えてくれます。

枯れた池

しかし、水量はがた落ちでも街の水路は健在です。それに工場が休む日は大量の水が戻って来ます。この街を見ていると、私たちの住環境には「水」と「緑」が必要であることがよくわかります。理屈抜きでほっとするのです。
 また、「三島には水」というポリシーが厳然と存在しているようで安心していられます。それは街を歩いているとよくわかります。水路のそばの家は、やはり水と付き合える構造になっています。

わが町、土浦とは雲泥の差です。土浦も昔はこうだったのでしょうか。だとしたら、何故遺産としてその風景を、環境を残せなかったのでしょうか。
(おわり)