私の町は都心から60キロの通勤圏ギリギリに位置しています。この町にこれからずっと住んで行こうとしている私にとって今、非常に気になっていることがひとつあります。それは供給過剰ではないかと思われる住宅開発です。
この町にはここ10年内に開発された数カ所の大規模住宅地があるのですが、いずれも7割方が売れ残り、ひどいところは広大な住宅地に数件の家しか建っていない。諸般の事情は分かるにしても、しかし、それにも関わらず新たな宅地が今開発され、さらに付近の自然を破壊しての大規模開発も計画されています。素朴な疑問として、そんなに宅地は必要なのでしょうか。都心でもマンションがだぶつき、公団は空き部屋だらけ、そして我々の町でも20〜30年前に開発された住宅地では跡継ぎがいないために放置される家屋が目立って来ているというのに。そう、宅地はリサイクルできないのです。これには地球の温暖化にも匹敵するぐらいの住宅政策のミスがあるのではないでしょうか。 まず、自然が破壊されます。宅地開発のよるものも勿論ですが、耐久年数が30年程度の家屋ばかり建てていては材木が不足するのは当たり前。建築に使える材木が育つには70年はかかるのですから。
そして、1世代、数人の家族しか住めない小規模の住宅の乱立です。いずれ跡継ぎがなく放置される運命にあるのは見えていました。中古物件はローンも不利なうえ、流通も実に貧弱です。それにゴーストタウン化しつつある土地を誰が買うでしょう。売れない土地は相続のときに税金のかわりに物納されます。近い将来そのようなケースが爆発的に増え、国有宅地は膨大な在庫をかかえることになると思われます。地方自治体も固定資産税の減に繋がります。其の時点で国が安価に在庫を吐き出し、一大地価暴落に繋がったとしても、そのときそこに住むべき人はいないのです。にも関わらず、政府はこの標準的な規格の住宅の取得促進をうたっています。わたしはこのような住宅の建て方こそ間違っていると思います。広い農地も必要なくなった今、スペースでは欧米並の広さを確保できない理由はありません。そして、子孫に残させない税制から、子孫に守ってもらう税制に切り替えるべきです。どのような土地も健全なすがたで所有されるべきではないでしょうか。
(おわり)