私達の街で、さらに新道の建設が着手されました。一けた国道のバイパスで、渋滞のひどいことを考えると何からの改善策は必要だとは思われるものではあります。
しかし、おかしい、と感じたのはそのルートが殆ど農地なのです。たしかに、地価の安い農地、そして騒音が比較的許容される農地に新道を作るのがベターという常識はありました。しかし、そのルートの農地を見てみると、ほぼ全てが営農されている農地です。ここを道でつぶしてしまえば、当然、地域の農産物生産能力は落ちます。これで、いいのでしょうか。休耕田があちこちにあり、かつ売れ残りの住宅地が砂漠のような様相を呈しているこの時期に、なぜ健全な農地をつぶしてしまうのでしょうか。これは、日本の将来の生産力、その意欲そのものを削ぐことにならないでしょうか。
そもそも、土地の価値をただ地価だけで判断するのは問題ではないでしょうか。それも住宅地だけが価値がある、というのもおかしな話です。住宅地は固定資産税は取れるかもしれませんが、何も生産しない土地です。日本の国土が住宅地ばかりになったら当然、生産力は0になります。国の生産力、国民の生産意欲を維持するためにも、健全な国土のバランスを維持するためにも、健康的な農地は保護する必要があるのではないでしょうか。
宅地でないと物納が許されない、という相続税の納付方法にも問題があるでしょう。農家もそれと比べて、新道に土地を明け渡します。その方が得だからです。山林や農地はこうして代替わりごとに宅地になり、いつか飽和して砂漠化するのです。いずれ宅地には価値が無くなります。その時に農地を作ろうと言っても大変な作業です。
街づくりの姿勢が問われる時期に、ただ土地があるからと、従来の道の改良もしようとせずに新道に飛び付く姿勢・・・。
土地のもつ、地価以外の価値を考えていかないことには、公害も環境問題も景観問題もなにもクリアにならないと思います。逆に、それをしていけば、バランスのよい地域づくりができるのではないでしょうか。