風景は地域の身だしなみ


 「日本観光には魅力がない」、観光白書の台詞である。実にその通り。全国どこへ行っても、同じような安っぽい雑多な風景、風景に文化が感じられない。風景というのは人々の実生活から滲みだしてくるもの。言い換えれば風景は地域の身だしなみであり、地域共通の価値観の現れでもある。観光客は都会であれ、田舎であれその生活の雰囲気に浸りにいくのだ。しかし、現在の日本に地域の価値観を感じられる場所があるだろうか。
 日本の代表的な風景である皇居の森にも国会議事堂にも大坂城にも周囲のビルが醜く入り込んでいる。
 京都ですら美しい遠景というものは皆無だ。京都に来て幻滅した外国人も多いことだろう。
 すべて、個人が気ままに自分たちの都合ばかりを優先させている。それが建物に現れ、風景に現れている。だから、地域の特色ある、調和のとれた風景が壊滅してしまったのだ。古都にいくら美しい寺院があっても汚らしい町並みに囲まれていては価値はない。施設を作り観光地というラベルを貼れば観光地。これでは誰も来ない。
(おわり)