海跡湖が残した段丘と緑
霞ヶ浦は海跡湖です。その畔、土浦の中心街は桜川の扇状地のような場所にあります。南北は桜川の段丘になっておりその傾斜地には数多くの緑が残っています。
この他にも、霞ヶ浦と川に沿っていくつかの段丘とみごとな緑が残っています。この高台にある緑は付近の大体の家から眺めることができ、言わば土浦の住民にとっては原風景とも言えるものです。
見下ろすように続く緑の段丘
この地域は農業地域です。この段丘の上には古い家屋はありません。古い家は段丘の下、以前は田であった平野部の北側に並んでいます。段丘の上は強い北風が吹きます。そこに家を建てるより、下に建てる事で風を防ぎ、また、城下を見下ろすことを避けたと考えられます。
どの農家も風格のある家屋で、緑と丘を北側に背負い、美しい家並みを作っています。上級武士の別宅も点在していました。文化レベルの高さを感じさせる地域です。
しかし最近はこの折角残った緑に関心がないようで、利用価値の低い傾斜部ギリギリまで開発が進み、傾斜地にでもマンションを建てようという動きがあります。当然見晴らしは最高でしょう。しかしこの昔からの緑、町並みは破壊されます。
古い町であるという名残はこの辺りにしか残っていないのにです。
また、段丘の緑はところどころ剥げてしまっていて、完璧にのこされているとは言い難い。この丘の上は、当然ながら開発されていて、使い道のない斜面の緑が辛うじて遺っているだけなのです。これで、土浦のキャッチフレーズ「水とみどり」を謳うのはサギに近い行為とも謂えるでしょう。
常名の不細工な老人施設。折角の緑の景観が台無し。
ところで市には「保存樹」の制度がありますが、椎などの成長の速い木では数百年の年数が必要で、旧市街に保存樹に該当する木は皆無に等しい状態です。まして、これは単体で指定されるものですから、丘の緑のように範囲で保護される制度はありません。
一体これで街が守れるのか。全国的な傾向ですが、「水と安全はただ」という認識が未だにはびこっているといえるでしょう。土浦の場合も「水とみどりはただ」と思っている人が多い。先日保護樹木に関して市役所に送った手紙を掲載しておきます。 (おわり)